民法改正が賃貸経営に及ぼす影響

賃貸実務に関わるポイントを抑える 

明治期の制定以来、民法は実に120年ぶりとなる大改正を迎える。2015年3月に閣議決定され、施行は当初2018年中とされたが、現在では来年度中に成立、施行は2020年からとされている。そこで、この改正が不動産賃貸経営における実務に及ぼす影響についてポイントを抑えておきたい。まず、賃借権が第3者に無断譲渡された際の、契約の消滅時効期間が変更される。現ルールでは賃貸人の契約解除権利は10年で時効消滅し、オーナーが無断譲渡を知らなくてもこの時効は進む。新民法では「オーナーが無断譲渡を『知った』ときから5年で時効消滅」という新ルールが追加された。次に賃借人の修繕権に関して、「義務はオーナーにある」という現ルールに、「賃借物の修繕が必要な場合、賃貸人へ通知をすれば無許可で修繕できる」と規定された。通常、修繕費はオーナーに請求されるが、修繕権の乱用を避けるため、「賃借人の修繕による費用を必ずしもオーナーは負わない」という特約を付与することは、民法上有効とされている。3点目は、賃借物の一部滅失、その他使用収益の不能が賃料減額請求ではなく、減額になるという変更だ。今回の改正では、滅失だけでなく一部が使用収益できなくなった場合も賃料を減額すると明文化された。

賃貸実務に関わるポイント

最後の原状回復に関しては、「賃借人は通常損耗について原状回復義務を負わない」と規定された。これは、ハウスクリーニング、クロスの交換、畳の張替えなどの費用を敷金から差し引けないことを意味する。では、契約書にこれらを敷金から差し引くと記すと、法に反するのだろうか?民法は絶対的なルールではないので、異なる内容を契約に盛り込むこと自体に問題はないと考えられる。従って「ハウスクリーニング、畳の張替え費用は賃借人負担とする」との内容ならば有効だ。但し「通常損耗は賃借人負担とする」という内容にはできない。どの部分の負担かを具体的に明記する必要があるからだ。今後の法案成立・施行のスケジュールは変更もありうるが、不動産賃貸に携わる人間として、引き続き動向を注視していきたい。

賃貸実務に関わるポイント


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